’ROUND MIDNIGHT (1986 米 仏)


 

(邦題:ラウンド・ミッドナイト)







本当にたまたま何も知らず録画したこの作品、またしても大当たり。

映画を通じて演奏されるジャズ音楽が心地よく

ちょっとお酒が飲みたくなる作品。

でも、お酒を飲みながら観たら、俳優たちの心の動く瞬間や

ランダムに入る伏線、サプライズな配役に気付かないので

ちゃんとしらふで観た方が良いですね。

あと、阿呆な私は1回で理解できなかったところがありました。

個人的には何回でも観られると思います。


プロのサックスプレイヤー、主演デクスター・ゴードンの演奏や

音楽も担当したハービー・ハンコックのピアノだけでも

とても贅沢な音楽映画と言える…ってジャズ詳しくないですが。

でもビバップというジャンルや、その時代の前衛としての辛さなど

音楽シーンの歴史についても勉強になりました。

ストーリーも、優しく温かく、最後にじんとくるものでした。


デクスター・ゴードンのキャラクターが可愛いんです。しゃべり方とか…。

のっぽでしゃがれ声で、それでいて自分の一人称を”デール”と呼んだり。

彼の扮するデールは落ちぶれた天才アーティスト。

NYからパリに、逃げるようにやってきます。

そこで出会うデールの信奉者、フランシス。

フランシスを演じたフランソワ・クリュゼの一途な演技も素敵でした。

なんとマーティン・スコセッシも出ています!


真夜中のクラブ BLUE NOTE が舞台の、渋い男たちの友情の物語ですが

それを支えているのは紛れもなく女性たちの存在。

かっこいい女雇い主?バターカップの、ど迫力や

美しい元妻、シルヴィの揺れ動く女心も見もの、何より

フランシスの愛娘のベランジェール(ガブリエル・アケル)が居ることで

映画の温かみが違います。

彼女とデールのシーンが凄く微笑ましくて好きでした。


前回、映画の言語についてえらそうなことを言いましたが…

これはちゃんとフランス語と英語で展開されていて、

それぞれの空気感を感じることができました(えらそう)。

ちょっと最初、登場人物の、とくに演奏者の見分けに苦労しました、

まだまだ修行が足りません。

反日映画が出てくる描写には、複雑な思いを抱きましたが

総じては、大人のためのハートウォーミングな映画といった感じでしょうか。


筋にはあまり関係ありませんが、モネの画集が出てくるシーンでは、

睡蓮の池の水面がなんと動いて見えます!!




ジャズについてもっと知りたいな、と思える作品です。









前の映画へ



次の映画へ



キネマ喫茶倶楽部へ戻る