ある晴れた日に



マンハッタンの太陽


栃木県立美術館の企画展に行ってきました。
「マンハッタンの太陽 THERMODYMAMICS OF THE SUN 光学芸術から熱学芸術への拡張:18世紀から21世紀の”太陽画”の系譜」
企画展名…な…長い。ぐずぐずしてた最近の天気の晴れ間、太陽が出てきました、やった!








大きな銀色の風車が栃木県立美術館の目印。

「星と人間の間」飯田義国(1972)

ああ、夏も終わりですね…。

枯れ行く命にも力強さを感じます。




公園を右手に見ながら向かいます。

この遊具は、、、前は青いペイントだったような。

この色は個人的に…、形的にも、ちょっと…。

気を取り直して、美術館前に到着。

今回はこの、山中信夫(1948-82)の

ピンホールカメラによる写真がメインです。






記念写真を撮っている高校生が居たり。

プリント片手の日焼けした小学生にお父さんなど。
みんな、宿題頑張っているんだなあ〜。


プラタナスの樹の下を通っていざ。






感想です。
簡単に言うと太陽とか熱、光がテーマです。解説にもありますが。それを山中氏の写真と絡めてコンセプチュアルに、総体的に展示している感じでした。
山中氏は若くして亡くなった方ですがまさに太陽のごとし、制作に向かうエネルギーが物凄く、短いながらもパワフルに完全燃焼した方なのだと思いました。
使用されたピンホールカメラは思ったより簡素なもので、これであんなに膨大な写真たちを、時間をかけて撮っていったわけですから、並大抵の労力ではない。
同時に写真というものが、光によって、被写体が印画紙に記録されるという不思議について色々考えさせられました。
詳しい撮影の手法については展示の中ではあまり紹介されてなかったのですが、ピンホールカメラ…一度ちゃんとやってみたいです。
図録もまだしっかり読んでいないのでそこに手法が載っているかもしれませんが。
また、考えさせられたのは、川を写した映像を川に映す試み。映像は多摩美の特別授業での再現で新しいものだったので、
数十年前に撮った多摩川の流れをそこに投影することに関しての、時空の流れまで感じてしまいました。
(もっと上流で撮ったものらしく、多摩川の流れの速さも昔と今で変わったようですね。)
しかも、撮る時は明るくないと映らないけれど、投影するときは、暗くないとだめなんですよね。光と影は互いに必要としあってるんだなあと実感したり…。
そこに映しだされた映像は、動画では良く見えなかったけれど、生で見たらもっと壮大なロマンを感じることでしょう。
山中氏の手記などを見ると映像表現について物凄く真剣に考えていたことが分かりました。勉強不足な私には難しい部分が多々ありましたが。
作品の数は膨大で、盛りだくさんで、どれも見応えがありましたし、懐かしいものもちらほらありましたが、やっぱり…インスタレーション好きです!
志水児王[transparent element - positive]これは楽しかったです、純粋に。レーザービームが…ワイングラスに…あの空間に行かないと分かりません。
去年のクワクボリョウタさんの作品もすごく感動しました。これらも、暗くないとだめなんです。そこに光と像を感じるんです。映画とかもそうですね。
素朴な疑問…冨井大裕[gold finger]あれって、美術館の壁面に直接、画鋲、一個一個を、ゴールドフィンガーで刺して行ったんですよね、脱帽。
あと、田中功起さんの映像作品もあったのですが個人的に「かつら」が観たかったです。
常設展示では、まさかの、「憧れの海ゾーン」を大々的に展開していました。これらは、あの、伝説の、淡水魚専門の水族館の出口にもありましたが。
海なし県民の総意としての(?)切なる思いを感じてしまった瞬間でした。
帰りに、図録と、佐藤健くんが表紙の美術手帖をお買い上げ。あとで目の保養に、熟読しとうござります…。
素敵な出会いもあり、充実した鑑賞となりました。
概念的な難しさも半分あったのですが、頭を適度に使いつつ、純粋に視覚を刺激され楽しめる展示であったというのが、今回の感想です。



マンハッタンの太陽 THERMODYMAMICS OF THE SUN 光学芸術から熱学芸術への拡張:18世紀から21世紀の”太陽画”の系譜
2013年7月13日(土)− 9月23日(月・祝)栃木県立美術館
 

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